ゲロゲロ通信
GEROGERO
なぜ、水泳はいいの?シリーズ6
シリーズ6:「認知症予防」にも効果が期待できる水泳
高齢者社会になり、認知症患者も増加傾向にあります。そして、認知症は加齢とともに誰にでも起こりえる疾患です。自分がならなくても、親や周りの人が認知症を発症する可能性もあります。その認知症予防に、今、注目されているのが、効率的で安全な有酸素運動としての「水泳」です。なぜ、水泳が認知症予防におすすめなのかを、今回は考えてみました。
●有酸素運動で認知症予防
有酸素運動は、筋肉を収縮させる際のエネルギーとして「酸素」を使う運動のことを指しています。水泳をはじめジョギング、サイクリングなどが代表的な有酸素運動として知られています。その有酸素運動をすると、筋肉にブドウ糖が取り込まれるため血糖値が早く下がったり、脂肪が燃焼されたりします。そのため、肥満の改善や予防、全身の血行が良くなるとともに、持続的に有酸素運動を行うことで、脳機能の向上につながり、脳細胞の増加を促し、脳細胞も活性化されるそうです。加えて、酸素を含んだ血液を脳の血管へと運ぶことによってニューロン(脳を構成する神経細胞)が脳で作られて、シナプス(ニューロンと他のニューロンとの接合部分)が活性化され、記憶を取り扱う「海馬」もうまく働いて認知症予防になると言われています。
ところで、有酸素運動の中でも水泳は日常生活であまり動かすことのない筋肉を使い、陸上とは違った運動効果が期待できる上に、浮力が利用できるので体への負荷も少なく、過体重によるけがも少ないようです。そのため、高齢者も安心してできるのが水泳だと言えましょう。そして、認知症を予防する方法としても、有酸素運動の水泳が効果的だと言われています。
●高齢者や認知症予防に水泳がいい理由
近年、認知症予防にもなる有酸素運動が注目されていますが、高齢者にとって怖いのは「転倒」です。有酸素運動のウォーキングも人気なのですが、高齢者の救急搬送で多いのは「転倒による事故」です。転倒して寝たきりにつながる危険性も考慮に入れると、高齢者にとって安全な有酸素運動は、水泳だということになるかもしれません。
●脳を活性化
腕で水をかいたり、足で水をけったりして、全身の筋肉をリズミカルに使うため、脳細胞を効率よく刺激します。
●水中では体の負担を緩和
水中に入ると浮力が働き、体重の負荷がかなり軽減されます。そのため、腰やひざに負担をあまりかけずに、安全に有酸素運動や全身運動ができるメリットは大きいと言えるでしょう。
●血行の改善や促進
水中では水圧があり、適度な水の抵抗が筋肉を刺激したり、血行を促すマッサージの役割を果たしたりします。
●期待できる体重管理
水中で適度な運動をすることで、高齢者の体重管理も可能となります。
●健康管理や体力づくり
呼吸筋が強くなり呼吸も深くなり、泳ぐことで心肺機能も強くなり、免疫力がアップ。適度に筋肉も刺激され、体力づくりにも役立っていると言われています。
●運動不足解消
普段はなかなか自由に体を動かせない高齢者も水中に入ると浮力が働き、ラクに体が動かせるので、運動不足の解消にもつながります。
●ストレスの解消
水中にいると、日々のイライラが緩和され、「リラックスできて、ストレス解消にもなる」という人が少なくありません。水泳は気分転換するには、うってつけのスポーツかもしれませんね。
●仲間づくりの場
水泳をきっかけに、気のあう仲間と出会えたという人もいます。仲間づくりの場にもなっています。
水泳で脳も体も「若返った」という声も
●認知症予防も期待できると、水泳を始めた人にもお話をお伺いしてみました。
還暦の60歳を機に水泳を始めたサラリーマンのAさんは「第2の人生も健康を維持し、楽しく過ごしたいと考えました。体力にあまり自信なく始めたのですが、水の中は浮力があり、あまり運動をしたことがなくてもラクに体を動かせました。楽しくて、はや5年。この間、風邪を引くこともなくなり、水泳をして本当によかったと思っています」と、語ってくれました。
50代の主婦のB子さんは、80歳のお母さんと水泳を初めて1年ほどですが、「母の健康が気になり、母の認知症予防も兼ねて一緒に始めました。高齢の母が長続きするか心配でしたが、私よりも母の方が積極的で、水の中に入っているだけでもいい運動になっているようです。それに、母も私もちょっと小太り体型でしたが、少し無駄なお肉もとれて、すっきり体型になったようにも感じます。母の方はスイミングスクールでお友達もでき、アフタースイミングも楽しんでいます。母が今まで以上に元気で若返ったのは、娘としてはうれしい限りです」と、話していただきました。
●水泳で注意したいこと
ところで、水泳で注意したいのは、「無理をしないこと」が大前提です。たとえば、体調に不安や違和感を感じたら、お休みしましょう。高齢者スイミングも「がんばりすぎないこと」です。また、プールサイドは滑りやすいので転倒しないように注意が必要です。
注意すべきところはちゃんと注意した上で、皆様、認知症予防にもなる水泳を大いに楽しんでくださいね。