ゲロゲロ通信
GEROGERO
水難事故防止はベビースイミングから 〜ベビーの発育・発達面でもおすすめ〜 シリーズ53
水難事故防止はベビースイミングから
〜ベビーの発育・発達面でもおすすめ〜
もともとは水難事故防止を目的に欧米で始まったといわれているベビースイミング。今ではベビースイミングは水中で体を動かすために全身の筋肉と体力を使うため、赤ちゃんの運動機能の発達をはじめ脳の発達にも効果があるといわれ、日本でも水への恐怖心があまりないといわれる赤ちゃん時代にスイミングを習わせる保護者が増えているようです。そのベビースイミングは赤ちゃんの首がすわった後の生後6ヶ月ぐらいから挑戦でき、上は3歳ぐらいまでが対象です。ベビーの発育・発達学の面から研究も加えられ様々なプログラムが考えだされていて、皆様に一部、プログラムもご紹介したいと思います。
水難事故防止で誕生したベビースイミング
アメリカではプールがある家庭も珍しくなく、また、海、川、湖でのレジャーが盛んで子どもの水難事故が多発していたため、水中でも自分の安全を確保できるようにと考えられたのが、もともとのベビースイミングのはじまりだったようです。確かに世界的にみても水難事故はケガや死につながる事故の原因の一つで、なかでも溺死はアメリカの1歳から4歳までの子どもの傷害死亡の原因の一つだともいわれています。
水難事故を防ぐことを目的として生まれたベビースイミングですが、近年は「体を鍛えられる」や「頭がよくなる」といった赤ちゃんの発育・発達面での理由でベビースイミングを習わせる保護者が増えています。
普段、あまり運動をしない赤ちゃんですが、ベビースイミングをすることで体力がつくはずです。また、水中で身体を動かせば、心肺が強くなり、新陳代謝も高まってきます。五感や脳も刺激を受けるので、体や脳などの成長にもプラスになるといわれています。
それに、ベビースイミング後は赤ちゃんも体力を消費しているので、授乳や食事が進むそうです。お昼寝や夜もよく眠るようになり、生活のリズムが整っていきます。こんなところもベビースイミングの魅力だといえます。
赤ちゃんのために考え出されたプログラム
ベビースイミングでは、赤ちゃんの発育・発達学の面から研究も加えられていて、様々なプログラムが考えだされています。
一例として、お水に慣れ親しむためのカリキュラムを少しご紹介しましょう。カリキュラムに沿って少しずつ練習を進めていきます。
【抱っこ】
赤ちゃんは保護者であるパパやママに抱っこされて、一緒にプールに入ります。水に慣れる第一歩がこの抱っこといえるかもしれません。パパやママに抱っこされていると、赤ちゃんは安心感をもち、水への恐怖心が芽生えにくいともいわれています。
第1段階 お尻を支えてしっかり密着…不安を取り除きながらゆっくり歩きます。
第2段階 お尻を支えて離す…赤ちゃんに語りかけながら、お互いの体の間に大きく水をあけましょう。
第3段階 胸を支えて密着。
第4段階 胸を支えて離しましょう。
【ふりこ】
赤ちゃんを軽くふりこのように揺り動かします。水には浮力もあり、赤ちゃんの体が自然と浮きやすくなります。怖がるお子様には密着して楽しくお話しながら、行いましょう。両足の力が抜け、水に馴染んだ動きになるのが目標です。
【ひきよせ】
脇を支えて少し離れて保護者様の胸に水中で赤ちゃんをひきよせてみましょう。これも最初は両足に力が入りますが、水慣れが進むと力が抜け、伏し浮きの状態になります。
【ゆりかご】
赤ちゃんを横抱きにして、頭の後ろを水につけていき、水中でゆっくり揺らしながらゆりかごのような動きをします。この講習は嫌がるお子様が多いかもしれません。恐怖心を取り除くには保護者様の顔をできるだけお子様の顔に近づけるとよいでしょう。気持ちよくなって、もしかして、赤ちゃんは眠くなるかもしれませんね。
【ねんね(背浮き)】
始める前にしっかり頭の後ろを濡らしてから上向きの姿勢をとらせます。始めは胸に手を当てて、しっかり保護者様の胸とお子様の背中を密着させてゆっくりのぞきこみます。そして、お話をしながらゆっくり仰向けにしてください。そのまま耳までしっかりつけて背浮きの姿勢がとれたら手をはずし、首の後ろ、または背中を支えて浮きましょう。
【たかいたかい】
赤ちゃんの定番の遊び「たかいたかい」。赤ちゃんを高く持ち上げる「たかいたかい」のポーズを水中でします。しかし、下が水ということもあり、怖がるお子様もいます。少しずつ高くしてください。特に降ろす時は水しぶきのかかる量に気をつけて、少しずつしっかり水しぶきがかかるようにします。
【水中を歩く】
水の中に用意してある台の上を歩きます。陸上ではまだこけたりして安定しない歩行ですが、それを水の中で行うと、浮力で体が軽く浮いたような状態になります。初めのうちは気をつけて、手をつないで歩かせてください。台は少し段を変えたり、坂をつけたりしています。
【壁につかまる→移動】
浮力を利用して壁につかまります。つたえ歩きの水中版といえます。水の中では「浮く」「歩く」の他に「つかまる」という運動があります。自分の体重を支えてつかまる動作は、浮力があるからできます。これは、水の事故に遭遇した時に何かにつかまり移動ができるように練習をします。このようにベビースイミングは水の事故から身を守るための練習もします。
【もぐり】
水に慣れてきたら、もぐる練習です。初めてのもぐりを成功させるためには、もぐった後の保護者様の反応が一番大切です。ちょっとしかもぐれなくても、「上手、上手」とか「うまくできたね」と声をかけながら、ほめてあげましょう。そして、しっかり笑顔で抱きしめて上げてください。反応次第で、どんどん水の世界が楽しく感じていくかもしれません。
ご紹介したのは、水に慣れることがポイントのカリキュラムです。赤ちゃんには水に浸かりながらおもちゃで遊んだり、体を動かしたりして、徐々に水への抵抗をなくし、水の楽しさを知ってもらうようにしましょう。
ただし、赤ちゃんが嫌がったり、泣いたりしたら、無理強いは絶対にしないでください。無理強いをすると、水中に入るのが嫌いになり、ひいては怖がるようになる可能性もあるからです。
「水は楽しい」と思うようになるまで、根気よく水慣れさせてあげてください。
赤ちゃんにとってカリキュラムをこなすことは、一つひとつ目標を達成していくことにもつながります。赤ちゃんも懸命にチャレンジしているはずです。
どのカリキュラムも達成するごとに「すごい」とか「よくやったね」とか、ほめてあげましょう。
【注意点】
・お子様の体調に留意して、熱などがあれば、中止してください。また、嫌がれば、無理強いはしないことです。
・プールサイドでは必ず手をつなぐか、抱っこしてあげてください。
・泳いだ後は風邪を引かないように注意してください。しっかりと体を乾かしてあげてください。
・プールで歩いたり、泳いだりした後だけでなく、運動をした後のストレッチなどのクールダウンは大切です。クールダウンすることで筋肉疲労などが軽減されます。
・飲み物は冷たいものを避けて、常温か温かい物を飲ませてあげましょう。
・マナーを守り、皆で楽しくプールを利用してください。