ゲロゲロ通信
GEROGERO
喘息など気管支が弱い子、体力のない子にも水泳はおすすめシリーズ15
シリーズ15:喘息など気管支が弱い子、体力のない子にも水泳はおすすめ
水泳の魅力を考えたとき、生まれたばかりの赤ちゃんでもプールに入ることができ、また、体力が低下してきたお年寄りまで楽しめるのです。そして、水泳は医学的に見ても、身体面でもメンタル面でもおすすめできるスポーツではないでしょうか。前回は小児肥満にも効果があるというお話をさせていただきました。今回は、体力のない子どもや、喘息など気管支や呼吸系の弱い子どもなどにもおすすめしたいのが水泳です。高温多湿の環境で行う水泳は気道が乾燥しないので発作が起こりにくいと考えられていて、水中では水圧を受け、陸上に比べて深い呼吸になるので、心肺機能向上にも効果的です。
年齢・体力関係なく楽しめるのも「水泳」の魅力!
前にも書かせてもらいましたが、水泳と聞くだけで「ハードな運動」を思い浮かべる人がいます。水泳選手を思い浮かべると、確かにハードですが、一般が利用するには水泳は実はとっても親しみやすいスポーツなのです。それが証拠に、赤ちゃんから高齢者まで、男女関係なく楽しむことができます。また、泳がなくても、歩くだけでも効果があるのは水泳の魅力です。だから、泳ぐのは苦手な人も体力のない人でも挑戦できる運動なのです。
〇気管支喘息児と水泳
急に空気の通り道となる気管支が狭くなってしまい、呼吸がゼーゼーするなどして苦しくなる状態を繰り返す病気が「気管支喘息」です。気管支喘息児の場合は、数分以上持続する激しい運動が気道を刺激して引き起こされるといいます。
治療効果が水泳にあるかどうかは定かではありませんが、水泳は陸上で行う運動と比べると、ホコリの少ない環境にあるのは確かです。そのため、気管支喘息児には呼吸が規則正しくしやすく、また、過呼吸になりにくくいのは魅力だといえるでしょう。
また、水泳は水中で行うために、湿度が高く、気道からの水分の喪失が少なく、運動誘発喘息になりにくい環境であるのも見逃せません。さらに、続けることによって、運動能力の向上や気道過敏性の改善がみられる子どもも少なくありません。水泳は規則正しく呼吸をすることが基本のために、呼吸筋・呼吸機能を強化することができ、呼吸機能を発達させてくれるのも利点です。
〇全身運動が効率よくできる
陸上での運動は体力のない子どもには疲れやすく、体全体に大きな負担がかかることがあります。しかし、水中では浮力があるために、足や腰などにかかる負担が軽減されます。水につかった状態では水圧を受けるため、陸上より呼吸筋が鍛えられるといえます。また、水を手でかいたり、足をバタバタしたりすることで、普段あまり動かさない腕・肩などの筋肉が使われ、それにより運動量が増えるため、短時間で高いエネルギー消費が期待できます。
実際に気管支炎のお子さんをもつ保護者のお話もお聞きしました。「水中では水圧があるので、呼気時の気道内圧も上がり、楽に息を吐くことができるようでした。子どもが普段の運動よりも水泳の方が楽で楽しそうに見え、水泳を続けさせることにしました」。
〇自律神経のバランスを整える
現代の子どもたちは生活リズムが乱れがち。成長や発達にも影響を及ぼしているかもしれません。その一因が夜遅くまで起きていることのようです。この自律神経のバランスを整えるのにも、水泳が有効といわれています。というのも、水中での皮膚からの寒冷刺激もある水泳は、自律神経を整えるのにも効果的なようです。
気管支喘息児にとっても、水の中に入ったり、出たりすることが皮膚への刺激につながり、自律神経を鍛えることになります。自律神経を鍛えると、「気管支喘息の発作が出にくくなる」という声もありました。
〇ケガをしにくい体づくり
水泳において、水中でケガが発生することはほとんどありません。もし、考えられるとしたら、飛び込んでぶつかったり、プールサイドを走って転んだりする場合です。
成長過程にある子どもにとって、特定の部分に強い力がかからないことが大切です。成長中の子どもの骨の端には軟骨があり、ここから骨が伸びていきます。軟骨は骨よりは弱く、ハードな運動などで軟骨を痛めてしまうと、骨が育たなくなったり、変形したりするケースもあるからです。ケガの場面が少ない水泳は、そういう意味でもおすすめです。
〇信頼できるスクールを選びたい!
スイミングスクールはどこでもいい? そんなことはありません。何が目的で水泳を習うのかをはっきりさせることも重要です。ケガや事故がないように監督体制がしっかりしたところを選びたいものです。
また、今回のように気管支炎児だったりする場合は、前もってスイミングスクールや医療機関などとも連携し、お子さんの健康管理に留意しながら習わせてあげたいものです。
※病院通いもしているお子さんをお持ちなら、主治医の指示を仰いだ上で、水泳に挑戦してください。
※体調の具合がすぐれないなど変化があれば、無理せず、中止してください。
※どんな水泳にもいえますが、体調万全でプールに入ってください。不調があれば、水泳するのはやめましょう。