シリーズ13：成長期に適した安全なスポーツ「水泳」    

 

　スポーツの中で、子どもの成長期の筋肉や関節、骨に障害を与えることが少ないスポーツといえば、一番に思い浮かぶのが水泳ではないでしょうか。水泳の大きな特徴の一つは浮力により成長期のお子様の関節や骨への負担が少ないことです。体の片側を主に使うスポーツとは異なり、左右対称の動きを繰り返すので、全身の筋肉がバランスよく鍛えられ、成長にゆがみが起こりにくいのも水泳の魅力ではないでしょうか。今回は、成長期になぜ水泳がいいのかについて、お話をしましょう。

 

 

 

「水泳」は成長もサポート！

　カラダの基礎が作られるといわれる3歳～8歳の成長期はとても大切な時期です。

　この時期にスポーツをすることは健康な心身を養うためにもおすすめですが、気をつけたいのは、子どもの骨や関節は成長過程にあるために柔らかく、そのため特定の部位に負担がかかる運動を繰り返し行なったりすると、膝と肘などが変形する可能性があります。そのため、安全にかつ、成長を妨げないようにスポーツを行う必要があります。そういう意味でも、浮力により成長期のお子様の関節や骨への負担が少ない水泳は成長期にも適しているといえます。もちろん、他の運動同様に、水泳のし過ぎは成長期には禁物で、適度に行うことが重要です。

「水」の運動効果を知りましょう！

　「水泳がなぜいいか」を考えたとき、見逃せないのが「水」の持つ運動効果です。水の４大特性といえば『浮力』『水圧』『抵抗』『水温』です。これらは子どもの発達にも大きく影響します。そこで、水中での４大特性を考えてみました。

 

特性①「浮力」

　運動量が多い水泳ですが、陸上など他のスポーツに比べて意外にもケガや故障が少ないスポーツとして、注目されてもいます。

　それは、水中で「浮力」が働くからです。なんと、水中では体重が1/10になります。そのために、体重を支える足や腰の筋肉、骨、関節に余分な負担をかけることが軽減され、全身運動がしやすくなります。スポーツの中でも関節や筋肉、骨に負担を与えることが非常に少ないのは、この「浮力」のおかげなのです。

 

特性②「水圧」

　水は深い場所ほど強い圧力「水圧」がかかります。この水圧の影響により血液の循環がよくなります。

　また、水中では自然と腹式呼吸となります。水中では肩まで沈むと横隔膜が上下する腹式呼吸となり、深い呼吸を自然とするようになり、「呼吸筋」の強化にもつながっているといわれています。加えて、肺の活動は水中で常に負荷を受けながら動くことになり、結果として肺活量の増加をもたらし、心肺機能も活発になります。

特性③「抵抗」

　水に入るとわかるのですが、陸を歩くよりも前に進みづらいのです。実は、一人ひとりの動くスピードや動く量に応じて水の負荷が生じているせいです。空気よりも水の密度は高く、それが「抵抗」といわれるものです。水の抵抗は空気の約12倍もあるといわれ、すべての動きにかかわり、個人の体力に合ったほどよい水の重さ（抵抗）で、全身の筋肉を効率よく鍛えてくれます。

特性④「水温」

　水の熱伝導率は空気の約27倍といわれ、水中ではすぐに体温が奪われるのはそのせいです。そこで、体温が下がると、人間のカラダは体温を一定に保とうとする機能が働き、エネルギーを消費します。水泳では、体温の調整機能がトレーニングされ、風邪を引きにくくするなどメリットも生まれてきます。体温調節が苦手な子どもにとって、水中はトレーニングできる環境にあるといえましょう。

 

 

子どもの成長にプラスになる「水泳」

　子どもに習わせたい習い事の上位に水泳があるのは、子どもの成長を促すスポーツに水泳がふさわしいと考えられているのも理由の一つなのでしょうね。

　実際にお子様をスイミングスクールに通わせている保護者の声も聞いてみました。

　「カラダづくり、筋肉づくり、骨づくりの過程にある長男（６歳）には全身運動である水泳には魅力を感じます。水泳によって現在、腹筋、背筋、内臓にいたるまでカラダのすべての筋肉をかたよらず、鍛えることができていると思います。最初は水を怖がりましたが、今では水の中にいるのが楽しいみたいです。風邪も引きにくくなり、皮膚も強くなったようで、成長期の大切な時期に、水泳という習い事を選んでよかったとつくづく思います。また、泳げるようになって自信もついてきたようで、親としては、健康でたくましい子どもに育ってくれれば、うれしいですね。長女がもうすぐ４歳になるので、この４月から長女にも水泳を習わせたいと考えています」。

 

　春は習い事の季節です。お子様には「水泳」という選択肢はいかがですか？